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株/投資/ヘッジファンド/きまぐれぽんた

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トチバナ

今月23日前後に国土交通省から発表される公示地価の発表がある。公的な
地価指標のひとつの公示地価だが、全国からその地域の地価水準を代表
する標準地を選び、毎年1月1日時点の地価を不動産鑑定士等が評価して、
国土交通省が3月末ころに公表するものだ。住宅地や商業地、工業地、
市街化調整区域など、各地域ごとに標準地の1平方メートル当たり単価で
示されるのだが、適正な土地取引の指標にすることを目的に、1969年の
地価公示法の制定とともにスタートしており、現在標準地設定数は例年3万
地点強もある。この発表で、おそらく大都市圏の上昇傾向がよりはっきり
するのではないかとの観測がある。さらにオフィス市場調査の生駒データ
サービスシステムがまとめた2月末の東京都心のオフィス空室率は2.0%と
前月末から0.2%ポイント低下しているので、貸し手優位の状況が明確化
している。バブル期の地価上昇は、需要の裏づけもなくほぼ全面高の地価
上昇であった。しかし、今回の地価回復局面においては、キャッシュフローと
需要の裏付けのあるエリアでしか地価は上昇していない。地価上昇エリアは、
ほぼ例外なく再開発によってエリア価値が向上しているポイントに限られて
いる。特に開発計画が目白押しの東京南部エリアでは、ここ3-4 年持続的に
地価上昇が続いているエリアが多く、将来的にも再開発効果で地価上昇が
4-5 年持続する可能性が高い。今後、最低でも4-5 年地価上昇は続こう。
今回、地価が上昇している地点は、全て再開発などによってエリアに付加
価値が与えられた地点に限られている。よって、5-10 年に亘って再開発が
持続する東京南部エリアでは、地価上昇が長期間継続していく可能性が高い。
また、再開発が行われるエリアでは、地価上昇を睨んで周辺土地の取得が
プロジェクト開業の2-3年前から活発化してくる。そのため、大型再開発
エリアの周辺では、プロジェクト開業の2-3 年前から地価が上昇する傾向が
見られる、なんてポイントをしっかりと考えながら発表を待ちたいところ。


商業地で地価が上昇しているエリアの特徴は、(1)再開発エリア(東京駅
周辺他)、(2)高級海外ブランドの集積エリア(銀座、表参道)、の2 点に
集約される。特に再開発プロジェクトは、山手線南部エリアに集中して
いる。山手線南部エリアの再開発は、今後5~10 年の長いスパンに
よって継続的に行われる。よって、山手線南部エリアの地価も、再開発の
進展に連動するかたちで、5~10 年の長いスパンに亘って上昇を継続
すると予想される。一方で、再開発計画の少ない山手線北部エリアに
ついては、地価の上昇というのは、限定的であると予想される。バブル
崩壊以降の地価動向は、需要・都市機能の集積によって二極化する
傾向が多い。工場跡地、地域再開発などによって新たな土地が供給
される東京南部エリアでは、開発が促進される傾向にある。海外ブランドが
買いあさっているエリアは特にコメントしなくてもいいだろう。国民の消費
意欲の上昇にあわせて高級ブランドがいくらでも構わないから借りたい、
売ってくれ、という話をすることになり、値段はうなぎのぼりになってしまう
ことが地価上昇につながるのだ。


2007.03.25
国土交通省は2007 年1 月時点の公示地価を発表した。全国ベースの
公示地価は、全用途平均が前年比0.4%増、住宅地が同0.1%増、商業地が
同2.3%増となり、いずれも91年以来16年ぶりに前年比で上昇した。三大
都市圏を中心とした地価上昇が波及し、全国平均値を押し上げた。三大
都市圏の商業地の上昇率は8.9%(前年は1.0%上昇)と上昇幅が拡大した。
大きなサプライズはないが、敢えて言えばやや強かった印象。東京23区の
公示地価は、住宅地で前年比11.4%増、商業地で同15.9%増で、前年の
それぞれ同2.2%増、同3.7%増と比べて上昇率は加速している。23区の全ての
調査地点で、住宅地も商業地も地価は上昇に転じている。特に港区、
渋谷区および中央区では、商業地も住宅地も20%以上の高率で上昇して
いる。名古屋市、大阪市、京都市、福岡市、仙台市では、商業地の前年比の
上昇率は10%を超えており、上昇率が加速。ただしこれら以外の地方都市の
中には、地価下落が続いている都市も多いが、全体として下落幅は縮小。
市場では、好材料はほぼ織り込み済みと見て、短期的に不動産セクターの
株価に換金売りの圧力が高まる可能性がある。ただし東京のオフィス市場
での賃料上昇率が加速しているため、遅行性の指標である公示地価の
上昇率は、平均値でみれば今後更に加速する可能性もある。不動産セクターに
弱気になるのはまだやや早いと考えられる。

全国で地価が最も高いのは、東京都中央区銀座4 丁目の山野楽器銀座
本店(商業地)で、1 平方メートルあたり3,060 万円。これは、バブルピーク時
(91年)の約79%。仮に賃料を5 万円/月坪とすると、キャップレートは約2.6%。
最高価格地の価格上昇率は07 年と今年(評価時点は08 年1 月)がピークで、
三大都市圏を中心とした地価の上昇は、2011 年~2012 年までは続くと考える。

土地の価格は「一物四価」とも言われ、同じ一つの土地でも4種類の価格が
ある。「実勢価格(取引価格)」、「公示価格」、「路線価(相続税評価額)」、
「固定資産税評価額」の4つだが、「公示地価」とは国土交通省が発表する
毎年1月1日時点の土地価格のことで、土地取引や資産評価をするに当たって
土地の適正な価格を判断する客観的な目安として使われている。「路線価」は
その公示地価の8割の水準、「固定資産税評価額」は公示地価の7割の
水準が目安とされている。

昨今のビルブームの背景には、許認可自治体による融通無碍の容積率
緩和がある。同じ土地でも高くビルを建てることが容易になったので、その分、
賃料収入が増え、高く土地を買っても投資に見合うようになっている。よって、
容積率が緩和された中央5区や地方の要地点には高いビルで多くの
賃料が取れるビルを建てると儲かるので、土地価格が上がった。こうした
容積率の緩和を鍵とした土地価格の変動が起きているのに、公示地価は、
現実の容積率を無視した取引事例を当てはめられているため、実態の
容積率が低い土地の状況でも同じように高いままの価格が付けられて
しまっている。全国一位の評価が丸の内の丸ビルから銀座の山野楽器に
移ったのはこうした数字の歪みの反映となっている。



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